うつ病のカウンセリングはどのようなことを行うの?

病院やクリニックで「うつ病」を診断されたとき、医師からカウンセリングを勧められる場合があります。
あるいは、薬を出すほどではないけれども、抑うつ症状がでており、カウンセリングを利用してみたいと考える方もいるでしょう。

うつ病になった場合、あるいは抑うつ症状がでている場合、カウンセリングでどのようなことを行っていくのでしょうか?
カウンセリングの存在は知っているけれども、その実情がどのようなものか知らない方のために、うつ病のカウンセリング内容とその効果について、説明いたします。

うつ病については、こちらに詳しくまとめていますので、ご参考にされてください。

カウンセリングとは、比較的健康度の高いクライエントに対する、心理的援助活動

それでは、そもそもカウンセリングとは何でしょうか?

『心理学辞典』には、以下のように記載されています。

カウンセリング(counseling)とは、言語的及び非言語的コミュニケーションを通して、比較的健康度の高いクライエントを対象に、問題解決や人間的成長及び健康の促進を目的に行われる心理的援助活動を指す。

下山 晴彦(2014).心理学辞典 新版.誠信書房

ポイントとしては、「比較的健康度の高いクライエントを対象」としている点です。
「うつ病」と一口に言っても、その症状、程度、背景は人それぞれです。
カウンセリングでは、重度のうつ病の方は、基本的に対象としていません。重度のうつ病の方は、まずは薬を飲み、休養をとることが大切です。

それでは、心療内科や精神科等に通いながら、カウンセリングを受ける場合、どのような使い分けをするのでしょうか?

病院やクリニックでは、医師による診察が行われます。診察では、医師が病状を把握するため、医師から質問をする形式で進められ、5分~10分程度で終了します。
医師は収集した情報をもとに、診断をしたり、症状にあった薬を処方してくれたりします。
診断・投薬は、医師だけが行えることであり、カウンセラー(臨床心理士や公認心理師)は、診断・投薬は行うことができません。

一方、カウンセリングは、45分~90分程度と、診察よりも長い時間行われることが多く、基本的には、クライエントが話すことによって行われます。
うつ病の方のなかには、服薬だけではなかなか回復に至らず、カウンセリングが効果を発揮する場合があります。

カウンセラーと医師の違いについては、以下のコラムをご参考にされてください。

うつ病を発症し、休職となったCさんのカウンセリング内容

それでは、うつ病の場合、具体的には、どのようなカウンセリング内容となるのでしょうか?

カウンセリングは、個別性が高く、カウンセリングの頻度や回数、内容等は、クライエントによってさまざまです。

ここでは、うつ病によって休職を経験したCさんの事例をご紹介します。
なお、本事例は、臨床心理士/公認心理師である筆者の臨床経験から得られた知見及び文献に基づき作成した架空の事例です。

Cさん(30代・男性)の事例

Cさんは、大手IT企業で営業職として働いています。
周りに気遣いができ、どんな仕事も一生懸命にこなすCさんは、先輩から信頼され、後輩から頼りにされる存在です。

Cさんは、営業としての成果が認められ、昇進をし、部下を抱えるようになりましたが、うまく部下をマネジメントできずに悩むようになります。
「自分が頑張ればなんとかなる」と思って取り組んでいましたが、だんだんと寝つきが悪くなり、休日でも仕事のことが頭から離れなくなってしまいます。食欲は落ち、疲れは溜まり、毎朝会社に行くのがやっとという状態です。心配をした上司が、Cさんに病院に行くように言い、Cさんはうつ病と診断され、休職となりました。

Cさんは、休職後、心療内科に通い、処方された薬を飲んで安静に過ごしました。
3か月ほど経ったところで、不眠が少しずつ解消し、散歩が日課となってきました。心療内科に通う頻度を減らし、医師からカウンセリングを勧められます。

Cさんは、自身でカウンセリングルームを探し、2週間に1回の頻度で、1回50分のカウンセリングを利用することを決めます。

1回目~3回目のカウンセリングでは、休職の経緯や自身の性格、今までの生い立ちについて話しました。
自身のことを話すのが苦手なCさんにとって、カウンセリングは慣れないものでしたが、話をすることで、自身がうつ病になりやすい性格であったことを理解していきます。

4回目、5回目では、休職中の過ごし方について、カウンセリングで話をしました。
休んでいることに対する罪悪感、周りから取り残されていくような不安について、ぐるぐると考えてしまっていましたが、カウンセラーと気持ちを共有することで少しすっきりとした気持ちになります。

このタイミングで主治医から職場復帰可能の判断がくだされ、6回目~9回目では、職場復帰に向けて、日常の過ごし方について、カウンセラーと一緒に考えます。
活動記録表をつけることをカウンセラーから勧められ、記録表をもとに、自分にとってストレスが溜まりやすいことやストレス発散方法等を検討しました。

約8か月の休職を経て、復職となり、10回目~14回目のカウンセリングでは、復職後の不安について語り、安定して働けるようになったところでカウンセリングが終結となりました。

Cさんは、以下のように語ります。

Cさん

最初はカウンセリングに効果があるのかよく分かりませんでしたが、休職は自分にとって始めての経験で、それを一緒に乗り越えるカウンセラーがいたことは、とても心強かったです。
自身について話すことで、自分の性格や考えを客観的に理解できるようになりました。
休職中にカウンセリングをしたことで、自身の今後の人生について考えるきっかけとなり、利用して良かったなと思います。

Cさんの例は、あくまで一例ですが、カウンセリングを通して、気持ちを共有することで不安が軽減したり、自身の考えについて理解したりします。
最終的には今後どのように働いていったらよいか、どのような人生を過ごしていきたいかについて考えるようになる方もいます。

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