不安障害・不安症とは?
私たちの感情の一つに「不安」があります。
本来、不安は、「危険をいち早く察知して生き残る」という生物として必要なアラートの機能を持っています。
しかし、その不安が病的になってしまうと、危険や脅威を現実よりも大きく見積もってしまったり、アラートが誤作動を起こしてしまったり、本来なら対処できるはずの自身の能力を低く見積もってしまったりします。
このコラムでは、病的に不安な状態を指す、不安障害・不安症について解説していきます。
不安障害・不安症の種類
不安障害には、さまざまな種類があります。ここでは、不安障害のなかでも代表的なものを紹介します。
全般不安症…とにかくいろんなことに不安になる
生活全般におけるさまざまな状況に対して、慢性的に過剰な不安や心配を抱き、心身の不調をきたしている状態です。この状態が6か月以上継続している状態を全般不安症といいます。
あらゆることに関して不安な気持ちでいっぱいになり、症状が悪化していくと常にそわそわしてしまったり、眠りが浅くなったりと日常生活に支障をきたします。
何が不安のトリガーとなっているのかがはっきりしないことも特徴の一つです。
限局性恐怖症…特定の状況で不安になる
特定の対象や状況に対して強い恐怖感を抱く状態を、限局性恐怖症といいます。高所恐怖や閉所恐怖といったものが含まれ、聞きなじみがあると思います。
恐怖とする対象や状況にさらされることでパニックになってしまうのも症状の一つです。
軽度なものであれば自分で対処することができますが、それらへの恐怖にとらわれて不安が6か月以上持続し、生活に支障をきたすほどであれば治療する必要性が出てきます。
パニック症…特定の状況でパニック発作がでる
突然激しい恐怖感に襲われ、数分以内にその恐怖感がピークに達し、動悸、発汗、震え、めまいといった症状が起こるパニック発作が特徴で、それが繰り返される場合にパニック症とされます。
「またパニック発作が起きてしまうのではないか」、「どうにかなってしまうのではないか」といった不安(予期不安)や、以前発作が起きた場面、例えば電車に乗らないというように、特定の場面の回避も症状に含まれます。
社交不安症…人前で不安になる
人前で何かをするときなど、他者の注目を浴びる可能性がある場面で、「他者に否定されるかもしれない」「恥をかくかもしれない」と考えて不安や緊張感が高まります。
赤面、動悸、発汗、手や声の震えが現れ、そのような場面を回避するようになる状態を社交不安症といいます。
10代半ばから20代前半の、比較的若い世代での発症が多いことが特徴です。
症状が進行していくと外出や人と会うことを避けるようになり、社会生活に支障がでてしまいます。
不安障害・不安症の症状
どの不安症にも、個人差がありますが、以下のような身体症状が現れます。
- 汗をかく
- 血圧の上昇
- 心拍が上がる、ドキドキする
- 過呼吸、呼吸困難
- 下痢、腹痛
- 頻尿
- 排尿困難
- めまい
- 震えなどの自律神経症状
不安障害・不安症の治療法と経過
治療するにあたって、不安になる状況を避ければ、ある程度症状は改善されます。
しかし、性格的な気質や、置かれている環境のストレス、遺伝など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているとされており、根本的な治療には、ある程度、時間が必要です。
不安障害の治療は、薬によって身体症状や精神症状の緩和をしながら、カウンセリングによる心理療法が有効とされています。
まずは、薬物療法で、現在苦しんでいる症状を緩和させつつ、日常生活が送れるように整えていきます。
それと並行して、公認心理師もしくは臨床心理士とのカウンセリングを通して、不安の原因を探っていきます。
「不安」と一概に言っても、人によって不安の感じ方はそれぞれ違います。何に不安を感じるのか、どう不安に感じるのか、症状に向き合っていきます。
そのなかで、少しずつ不安のトリガーとなる場面や対象にさらされても不安に飲まれない、「自分は大丈夫である」という経験を積み重ねていきます。
不安障害・不安症は、成人が生涯に一度でも患う可能性が4~9%とされており、決して低い数字ではありません。
また、うつ病との合併もしやすく、早期介入が重要とされています。症状が進行する前に、専門家につながることが大切です。
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