若手社会人のカウンセリングが増えています
私が運営するカウンセリングルームでは、毎年5月から6月にかけて、新規の予約が増えます。その多くは、4月からの職場での環境変化にうまく適応できずに、なんらかのメンタル不調を起こしているケースです。
なかでも近年は、若手の社会人、特に新卒入社し、働いて数か月の時点でカウンセリングを申し込む人が増えています。このコラムでは、若手社会人の方がどんな不安や困難さを抱え、メンタル不調を起こしてしまうのかについて考えてみたいと思います。
まずは、新卒で入社し、6月下旬にしろくまカウンセリングにやってきたAさんの事例を紹介します(いくつかの事例をもとに作成した架空事例です)。
事例 自分を責めることを辞められないAさん
Aさんは、大学を卒業し、新卒でメーカーのB社に勤め始めました。
真面目なAさんは、新入社員研修では優秀な成績を修め、同期のなかでも「Aさんは仕事ができる」と思われている存在でした。
研修を終え、配属された営業部では、OJTとして先輩Cさんが仕事を教えてくれることになりました。Cさんは、テキパキと仕事をこなしており、営業部のなかでは一目おかれる存在です。
配属後の1か月程度は、Cさんが一対一で仕事を教えてくれており、Aさんも一生懸命仕事についていきました。覚えることがたくさんありましたが、先輩から教えられたことにはメモをとり、自宅ではそのメモを見返して復習をしていました。
次第に自分ひとりで取引先の対応をすることも増えていきました。先輩のCさんを含め、営業部は皆忙しく、質問をするタイミングがなかなかつかめません。勇気を出して質問をすると、教えてくれる先輩がほとんどですが、質問をすること自体、Aさんは申し訳なく感じています。
ある日、Aさんは些細なミスをしてしまい、先輩のCさんが取引先に対してフォローをすることがありました。Cさんのスピーディな対応に、事なきを得ましたが、その後AさんがCさんに謝罪に行くと、Cさんは心なしか素っ気ないように見えました。
Aさんは、「Cさんが自分に愛想をつかしたのではないか」「自分は仕事ができないと思われているのではないか」と、ぐるぐると考えてしまい、その夜から寝つきが悪くなってしまいました。その後、仕事の質問をするのにもさらに時間がかかるようになってしまいました。朝は、外に出るまでにひどく時間がかかり、通勤電車では動悸がするようになりました。
このままでは仕事に行けなくなってしまうのではないかと感じたAさんは、しろくまカウンセリングにやってきました。
メンタル不調の原因は、他者からの見られ方に敏感で自責感が強過ぎること
Aさんのケースは、このまま仕事を続けると、ますますメンタル不調が加速し、休職に至ってしまう可能性が高いでしょう。
Aさんは、就活でメンタル不調になった際、大学の学生相談室を利用した経験から、カウンセリングを検討し、しろくまカウンセリングを予約しました。
こうした近年の若手社会人の方の特徴として、2点のことが挙げられます。
1つ目は、客観的に見たときに、明らかに職場環境が悪いケースが少ないこと、2つ目は、誰かから何かを言われたわけではないのに、自分のなかで自責感を大きくしてしまい、その自責感がメンタル不調を起こしていることです。
1つ目について、職場環境が悪い場合、明らかに残業時間が多い、パワハラ発言をする上司がいるなど、外から見たときにメンタル不調の原因がはっきりと分かります。もちろんこうしたケースも多くありますが、最近の若手の方のご相談は、こうした外から見た要因が分かりにくいことが多々あります。むしろクライエントさんは、「先輩の皆さんは良い人が多くて」と語るケースさえあります。
そのため、クライエントさん自身も「なぜこんなに不調がでているのか分からない」と言い、仮に休職に至った場合、企業側もAさんの不調の原因がよく分からず対応に困ってしまいます。
2つ目について、他者からの見られ方に敏感で、それがゆえに自身を責めてしまい、メンタル不調に至るという点です。
若手社会人のクライエントさんからよく聞かれる言葉として、下記のようなものが挙げられます。
「できる人と思われたいわけじゃないんですけれど、できないやつとは思われたくないんです」
「教えてくれる先輩に対して申し訳ないと思うんです」
「同期は、自分よりもうまくできているように見えるんです」
「ミスを指摘されるのが苦手なんです」
自分が他者からどう見られているかに関心が向きやすく、「こうなりたい」ではなく、「自分は何か間違ったことをしていないか」と考えることが多いようです。
これは、常に、自分で自分の”あらさがし”をしているような状態ですので、仕事中の緊張感が高くなるのは当然ですし、行き過ぎるとメンタル不調を起こすのも理解ができるといえるでしょう。
周囲からの見られ方に敏感なこと、自責感が強いことは悪いことではない
若手社会人の方でメンタル不調に陥りやすい方の特徴について書きましたが、こうした「周りからの見られ方に敏感」「自責傾向」といった特徴が、決して”悪い”ものではないと思っています。
こうした特徴があるからこそ、Aさんは真面目で新入社員研修でも評価されていますし、仕事でメモをとる姿勢は会社で評価されるものです。
良い面と悪い面は表裏一体であり、悪い面ばかりにフォーカスをあてて潰そうとするよりも、良い面・悪い面を含めて自分の性格であり、そういった自分をまずは自分自身がよく理解して受け入れることが大切だと思っています。
「周囲の目が気にならない自分になりたい」と仮にAさんが考えていたとしても、(もちろんAさんがそう考えるのも十分に理解できますが)今までの自分と違う自分になることは難しいですし、それはAさんが今まで経験してきた人生を否定することにもなります。
現実的には、「周囲の目が気になるけれども、メンタル不調にならない程度に不安を軽減させたり、環境調整できたりする」のを目指すのが良いでしょう。
新宿しろくまカウンセリングでは若手社会人の方のカウンセリングを受け付けています
新宿駅徒歩5分の新宿しろくまカウンセリングでは、若手社会人の方のカウンセリングを受け付けています。
メンタル不調が悪化する前に、まずは一度お越しいただき、ぜひカウンセラーにご相談いただけると良いと思います。
心理カウンセリングをご希望の方は、以下にてお申込みください。
