休職しても、うつ病がよくならない原因について

うつ病で休職をしても、なかなか病状が良くならない方がいらっしゃいます。むしろ、休職して、体調が悪化する場合もあります。
幾度となく「なぜ良くならないんだろう」と、自分を責め続け、それが治療を遠ざけることも少なくありません。

このコラムでは、うつ病の方の休職が長引かないようにするための大事な考え方を、心理カウンセラーの視点からお伝えしたいと思います。

うつ病が良くならないのは、「心が休めていないから」

うつ病の方は、多くの時間をベッドの上で過ごします。その様子を見て、「休めている」と思う方もいます。

しかし、うつ病の方の心のなかをのぞいて見ると、真っ黒な負の感情で押しつぶされそうな状態です。
ご飯が美味しくない、身体が鉛のように重くて動けない、今まで普通にできていたことができない……また、うつ病は、症状の特徴として、希死念慮を抱く場合が多く、「死にたい気持ち」「消えたい気持ち」を抱えながら、毎日なんとかギリギリ生き延びている状態です。

私は、カウンセラーなので、うつ病クライエントさんの日々の感情の一端を聞いているに過ぎません。
それでも50分のカウンセリングのなかで、クライエントさんの日々感じていることを聞いていると、底が見えない真っ暗な井戸の中を覗いているような気持ちになります。
クライエントさんは、暗闇のなかで恐怖や焦りと戦っているのだと実感します。

うつ病のクライエントさんを責め続けているのは、クライエントさん自身

真っ黒な負の感情がどんなものか、うつ病の方に聞いてみると、
「仕事をしていないなんて生きる価値がない」
「こんなことで休むなんて心が弱いからだ」
「職場の人に迷惑をかけてしまって申し訳ない」
といった内容が聞かれます。

続けて「どなたかかが、実際にそのように⚪︎⚪︎さんを責めるのですか?」と聞くと、「そんなことはありません、家族は『よく休んで』と言うし、上司は理解がある。周りが親切だからこそ、できない自分を許せないんです」とおっしゃられます。
(もし、うつ病で休んでいることを責める人がいれば、その人とはなるべく距離をとってください)

誰も、うつ病の方を責めていないのに、うつ病の方自身が自分を責めることを止められません。
「あれもできていない、これもできていない」と、できていないことに目がいき、そんな自分に嫌気がさし、また症状が悪化し、できないことが増えて…と負のスパイラルに陥ってしまいます。

自分の気持ちに気が付くことの難しさと大切さ

心の病は、外からその様子を見ることができません。本当は、消えたいほど苦しい思いをしていても、その苦しさを本人が認められず、「もっと頑張らないと」と思ってしまいます。

うつ病になると、「自分は何をしたいのか」という気持ちが分からなくなってしまいます。一方で、「他人にどう思われているか」という視点が大きくなり、できない自分を責めてしまいがちです。

うつ病の治療は、「自分が何をしたいのか」という自分から自然と湧き出てくる欲求を取り戻していく過程でもあります。「他人からの見え方」よりも「自分の気持ち」に向き合い続けることを意識していただきたいと思っています。

寝たいと思ったら、寝たらいいですし、プリンを食べたいと思ったら、プリンを食べたらいいと思います。音楽を聴きたければ、聴けばいいですし、散歩をしたいと思ったら、散歩をしたらいいでしょう。
プリンはどんな味でしょうか?卵の風味が美味しいと感じるかもしれないですし、もしかしたら、あまり美味しいと感じられないかもしれません。

そうした一瞬一瞬の自分の気持ちを積み重ねていくことで、自分自身の素直な感情を少しずつ取り戻していきましょう。

新宿しろくまカウンセリングでは、うつ病の方の心理カウンセリングのお申込みを受け付けています

うつ病の治療に一人で取り組むのは、とても孤独で苦しい作業です。
心理カウンセリングのなかで、カウンセラーと一緒に取り組むことで、辛く苦しい時間がなるべく短くなるよう、支援ができればと思っています。

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