心理学用語の1つ「アサーション」を知っていますか?

アサーションは、心理学用語の1つであり、簡単に言うと、「自分も相手も思いやる、自分の気持ちの伝え方」です。
「相手の状況や都合を考えつつ、自分の希望を伝える」ことは、言葉で書くと簡単ですが、実践することは、とても難しいことです。

例えば、以下のような場面で困ったことはありませんか?

  • 友達からランチに誘われ、仕事が忙しくて行きたくないが断れなかった
  • 彼氏からデートの約束をリスケしたいと言われ、電話で怒ってしまった
  • 同僚から休日出勤を頼まれ、断りたかったが、引き受けてしまった

誰しも、「本当は言いたいことがあったけど言えなかった」とか、逆に「相手のことを考えずに、つい言いすぎてしまった」といった経験があると思います。
アサーションの考え方を知ると、そういったシーンでどのようなコミュニケーションが適切であったのかを、考えるヒントになります。
アサーションを実践することで、職場での人間関係や友人関係、夫婦関係をより円滑で豊かなものにできます。

アサーションとは?3つの自己表現のタイプ

アサーションをより深く知るために、まずは、3つの自己表現のタイプをご紹介します。

非主張的(ノンアサーティブ)

非主張的は、一言で言うと「本当は言いたいことがあるのに、相手のことを考えすぎてしまって、何も言えない人」です。日本人に多いタイプと言われています。皆さんの周りにも、自分の意見を言うのが苦手で、損をしがちな人がいるのではないでしょうか。
非主張的タイプの人は、主張が控え目なため、相手に気が付いてもらえなかったり、主張自体をせずに我慢したりします。非主張タイプの人が我慢をすることで、短期的には、その場がうまく収まるように見えます。しかし、長期的には、非主張的タイプの人にストレスが溜まり、心身の不調を引き起こすきっかけとなります。
また、非主張的タイプの人にとってみると、「自分が我慢してあげた」という気持ちが募りますが、そういった気持ちは周りには気が付かれにくいものです。

攻撃的(アグレッシブ)

非主張的とは対照的に、「相手のことを考えずに、言いすぎてしまう人」です。
あなたの周りにも、なんだか攻撃的で自分の主張ばかり通そうとしてくる方がいると思います。
攻撃的タイプの人は、他者の意見を考えず、一方的に自分の意見や考えを押し通します。時には、怒鳴ったり、早口で相手を言いくるめたりします。相手に発言する隙を与えない姿勢は、相手をコントロールしたい気持ちの表れでもあります。
攻撃的タイプの人は、一見、堂々としているように見えますが、必要以上に威張ったり、怒鳴ったりしている様子は、どこか防衛的で、素直ではありません。

アサーティブ

アサーティブとは、自分も相手も大切にした自己表現の方法です。
アサーティブタイプの人は、自分の気持ちを、率直に相手に伝えます。また、相手にもアサーティブであることを願っています。
時に、相手と意見が食い違うことがあっても、自分の意見を伝え、相手の意見を聴くことを積み重ねて、お互いに納得のいく着地点を探します。
アサーティブは、自分に揺るぎのない自信と余裕があるからこそ、等身大の自分として相手と接することができます。

アイメッセージを上手に使おう

3つのタイプを知ることで、アサーションのイメージをつかんでいただけたかと思います。
アサーションを実践するにあたって、皆さんに、1つの武器「アイメッセージ」をご紹介したいと思います。

アイメッセージとは、主語を「私は」にして、相手に伝えることです。
アイメッセージと対の考え方として、「ユーメッセージ」というものもあります。これは、主語を「あなたは」として伝えるものです。
よりイメージしやすいように、アイメッセージとユーメッセージの具体的な例を紹介します。

アイメッセージの例
  • (私は)そういうふうに言われると、いらいらする
  • (私は)予定していたものがキャンセルになって、悲しい気持ちになった
  • (私は)連絡がなくて、困ってしまった
  • (私は)あなたにこうしてほしいと思う
ユーメッセージの例
  • (あなたは)そんなふうに言うなんて、おかしい
  • (あなたは)予定をキャンセルするなんて、間違っている
  • (あなたは)連絡をしなくて、最低だ
  • (あなたは)こうした方がいい

アイメッセージを使うことで、やわらかな印象の表現になることが、実感できたと思います。
一方、ユーメッセージは、どこか命令的で、押しつけがましい印象です。

アサーションで大切なことは、自分の気持ちを知ること

アイメッセージについて、学んでみると分かる通り、そもそも自分の気持ちが理解できていないとアサーティブにはなれません。
アイメッセージの良いところは、「私は」と主語につけることで、自身がどんなことを考えているのかを把握する訓練になります。
「私」を主語に考えるくせを付けて、自分の考えを言語化する練習をしていき、職場や夫婦関係、友人関係でより良いコミュニケーションを目指していきましょう。

アサーションと言えば、平木典子先生

臨床心理学の業界では、「アサーションと言えば、平木典子先生」と言われるほど、有名な先生です。
多くの本を執筆されていますので、もしアサーションについて、詳しく知りたい場合は、平木先生の本を手に取られると良いでしょう。

このブログは、以下の本を参考に執筆しました。

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