適応障害・うつ病の方の休職期間の過ごし方を解説します

初めて休職を経験される方にとって、「明日から休んでください」と言われても、いったいどのように過ごしたら良いか、途方にくれることと思います。
このコラムでは、初めて休職をする方にとって、どのような過ごし方や心構えでいると、治療につながりやすいかについて、臨床心理士・公認心理師が、解説をしたいと思います。

休職期間は、大きく3つの段階に分けて考えることができます。3つの期間を、「休養期」「回復期」「復職準備期」として、それぞれについて、解説します。

【休養期】心も身体も休めましょう。寝てばかりでOKです。

休職が決まった直後は、「仕事に行かなくても良い」と安心感を覚える方が多いようですが、それも束の間、実際に休職をスタートさせると、何もしていないことに対して罪悪感や不安を感じることになります。

そうした焦りや不安から、「休職期間を有意義に過ごさねば」と思い、資格試験の勉強を始めたり、家の大掃除をしたりする方もいますが、基本的にこういったことはしないほうが得策です。何か予定を立てても、うまくいかずに、よけいに自己嫌悪に陥ってしまいます。

適応障害、うつ病は、エネルギー切れを起こしている状態です。なるべく予定をいれずに、先送りできることは先送りして、休んでください。
一日中ベッドで寝てばかりの日があっても問題ありませんし、昼夜逆転してしまっても、大丈夫です。しばらくすると、休むことに慣れてきて、焦りや自責感が和らいてきます。

心の動きの例
  • ・働いていないことに対する自責の気持ちと、職場に対する怒りの気持ちがいったりきたりする。
  • ・会社からメールが来ると、怖くてなかなかメールを開くことができない。
  • ・同期は結婚や出産、家を買うなど、人生を進めており、自分だけ取り残されてしまったような気持ちになる。
休養期の例
  • ・日中はほとんど寝ている。食欲はないが、なんとか2食は食べるようにしている。家事は最低限だけ。毎日、夜お風呂に入るのは難しい。テレビを見るのはしんどい。

【回復期】外に出られる日を少しずつ増やしていきましょう

「動いてみてもいいかも」という気持ちがでてきたら、回復期に移行した証拠です。
休養期は、焦りや怒り、自責感、罪悪感に押しつぶされそうな日々を過ごしている方が、心も身体も休むことができるようになってくると、自然と「動いてみてもいいかも」という気持ちがでてきます。

この時期は、寝ること以外の、過ごし方のバリエーションを増やしてみましょう。
まずは、負荷の少ないもの、受け身的に楽しめることを探してみてください。例えば、漫画を読む、Youtubeでお笑いを見る、音楽を聞くなどです。
本を読む、ニュースを見るなどは、まだハードルが高いと思います。できないことがあってもがっかりする必要はありません。「今はこういう状態なんだな」と自分の状態を知るきっかけになったと考えましょう。

近隣のコンビニやスーパーに行く、家の周りを散歩してみるなど、外に出ることも少しずつ増やせるといいですね。特に散歩は、抑うつ気分を和らげる効果がありますので、無理のない範囲で続けてみましょう。

また、夜は寝る、ご飯は3食食べることも心がけてみてください。完璧でなくても全く問題ありません。すぐにうまくはいきません。うまくいかないときは、「まだ次の段階に進むフェーズじゃないんだ」と思ってみてください。

外に出られる日が1週間に1回から、3日に1回となり、1日外にでて1日休みとなっていきます。毎日外に出ても大丈夫、となったら、いよいよ準備期に進んでいきます。

心の動きの例
  • ・休養期では焦りの気持ちが大きかったが、回復期では「しっかり休んでから復帰しよう」という気持ちになってくる。
  • ・街でスーツの人を見かけると「働いてないのが恥ずかしい」と感じる。
  • ・会社の人事からメールが来ると気持ちが落ち込む。
  • ・働くことを考えると、怖い気持ちがある。
回復期の例
  • ・1日電車に乗って外に出かけると疲れてしまって、翌日は1日中寝てしまう。ご飯は3食食べられるようになってきた。夜は、たまに寝付けないことがあるが、24時くらいには寝て、翌日8時~11時くらいには起きる。
  • ・近隣のスーパーには、抵抗なく行くことができる。カウンセリングを利用して休職期間の過ごし方について考えられるようになる。

【復職準備期】生活習慣を整え、休職の原因について考えてみましょう

復職準備期では、復職に向けて、生活習慣を整えていきます。
現在の状態から、週5日、1日8時間仕事ができる状態にもっていく必要があります。

会社でリワークプログラムが準備されてる場合は「復職準備期=リワークへの参加の期間」と考えて問題ありません。リワークでは、決まった時間・場所に、交通機関に乗って通う訓練になります。

またリワークで、認知行動療法やSST(ソーシャルスキルトレーニング)、アサーションなどの心理教育を実施することが多くあります。こういった講座や他の参加者との交流を通して、再度休職しないための考え方を身につけ、自身の特性や休職の原因と向き合っていきましょう。

リワークが準備されていない場合は、自身で生活習慣を整え、休職の原因を考える形になります。一人で実施するのは、なかなか難しいので、できればカウンセリングなどでカウンセラーと一緒に進めていくのがおすすめです。

心の動きの例
  • ・休職の原因について冷静に考えることができる。休職の原因になったことを思い出しても、ひどく落ち込むことはない。
  • ・「また働きたい」という気持ちが少しずつでてくる。
  • ・会社とのやりとりも、怖くなくなってくる。
復職準備機の例
  • ・リワークに週3回通う。それ以外の週2日については、自宅の近くの図書館で本を読んで過ごすようにしている。
  • ・食事は3食とり、睡眠も問題なくとれるようになっている。

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